なぜこんなことを書き出したかというと、
久々に福井晴敏の本などを読んだからです。
こんなときだけど、
そろそろ未来の話をしようか
福井晴敏
「 震 災 後 」
小説形式の、震災当日からのある一家のお話です。
作者と同年代の僕に、印象に残ったのが、
未来のイメージでした。
確かに僕らの小学生のころは、
21世紀には高層ビルが建ち並び、
その間のチューブの中を車が浮いて走っている。
今から思えば、たわいも無いものですが、
そうなるものだと無邪気に思ってました。
本当なら2001年には月でモノリスが発見され、
木星に向けてディスカバリーが発進、
人口知能のHAL9000が
「 ボーマン船長・・・ 」 なんて言っているはず。
2003年4月7日に鉄腕アトムが生まれ、
宇宙にはスペースコロニーが浮かんで、
ジオン公国が独立を宣言していなければならなかった。
しかし現在2012年、これが今です。
あれから40年、
発展の象徴だった工場の煙突は光化学スモッグとなり、
ゴジラは公害怪獣と戦い、オイルショック、
バブルがはじけ、阪神大震災、地下鉄テロ、9・11・・・・・・・
でも、理想の時代なんて永遠に来ることはないし、
間違いながら、苦しみながら、
なんとかここまで乗り切ってきたのです。
良かれと思ってやったことが裏目にでることも、
対処したはずがさらに次の問題を発生させることもあったし、
それはこれからも同じでしょう。
少しづつですが、確実に良くはなってきている。
そう思いたいですよね。
その歴史の積み重ねのうえにしか、
未来はこないのでしょう。
物語の中で
「 原発を止めたって、
どうせろくな世の中にはならないんだ。
俺達の未来を返せ!」
息子が、親父に向かって言います。
子供達には、
完全な世の中を引き渡すことができなくても、
負の遺産だけではなく、
せめてたわいもないものでもいいから、
未来を残してあげたいものです・・・
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